知らないと恥をかく精進落としのマナー!挨拶の基本例文や席順を解説

ライフハック

冠婚葬祭に関するマナーにはさまざまなものがあり、知らずに開催(もしくは参加)してしまうと恥をかいてしまう可能性がありますよね。

日本では昔から精進落としという儀式がありますが、このマナーについて厳格に理解している人は少ないように思います。

初めて喪主になったという人や、葬儀などへの参加が初めてだという人でも分かりやす簡潔に精進落としに関するマナーを紹介していきます。

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精進落としの本来の意味と現代の意味は違う

まずは精進落としそのものの意味をおさらいしておきます。

精進落としというのは読んで字のごとく、もともとは『精進料理を終わらす儀式』として位置付けられていました。

日本の死生観では、故人が亡くなってから49日であの世に旅立つとされていますよね。これを一般に四十九日と呼ぶわけですが、昔はこの四十九日を迎えるまでは精進料理を食べていました。

49日間も精進料理を食べているなんて現代では考えられませんよね。

肉や魚をはじめ、刺激物などは基本一切口にしないのが精進料理なので、現代の食生活になれている人にとっては1週間でもきついと感じるはずです。

こういう事情もあり、今の時代は49日間も精進料理を続けるということはせず、精進落とし=葬儀の労をねぎらう宴会という意味合いになっています。

初七日法要までの期間に力添えをいただいた僧侶や世話役などに対しての一種のおもてなしということですね。

現代では精進料理をそもそも食べる習慣がなくなってしまったので、本来の意味とはだいぶかけ離れた感があります。

通夜ぶるまいとの大きな違いは招待制であること

精進落としと似た概念として通夜ぶるまいというのがありますよね。

お通夜の後に参列者へ料理を提供することを通夜ぶるまいと呼ぶわけですが、これとの違いはなんなんでしょう。

このふたつの違いを混同している人は多いですが、実は明確な違いがあります。

それが招待制であるかどうかという点です。

通夜ぶるまいというのは基本的に参列者全員にふるまい、一方精進落としは限られた人のみが参列する招待制になります。

招待する範囲についてはケースバイケースですが、一般的には僧侶、世話役、親しい友人や近親者を呼びます。

また、提供する料理は大皿料理ではなく、ひとりひとりに対してふるまわれるお膳が一般的であることも知っておきましょう。

通夜ぶるまいの際には事前に正確な人数を把握できないため大皿料理になることが多いですが、精進落としの場合は事前に正確な人数を把握することができます。(招待制なので)

大皿料理にして恥をかいてしまったということのないように注意しましょう。

香典返しを追加ですることも

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これは人それぞれであり、地域によっても差が出るところではありますが、精進落としに参加した人たちに追加の香典返しをすることもあります。

というのも、精進落としに参加している人たちは基本的に近い存在の人たちで、その分香典も高額になるのが一般的です。

そのため、お通夜の香典返しだけではお返ししきることができないという考えから追加で香典返しを用意するのです。

用意したほうがいいか判断が難しいという場合には、担当の葬儀屋さんに遠慮なく聞いてみましょう。

喪主として開く場合のマナー

自分自身が精進落としを開く場合に知っておきたいマナーです。

特に料理の内容と席順などは代表的なものですので、最低限知っておきましょう。

料理の内容や準備段階に関するマナー

葬儀屋などを介して料理を注文する場合には大きく料理の内容を間違えることはありませんが、自分自身で用意する場合には注意が必要です。

精進落としは労をねぎらうことが目的の宴会ですので、基本的に食べてはいけないものというのはありません。

ただし、日本では昔からおめでたい席で出される料理や食材というものがありますよね。

例えば、伊勢海老や鯛などです。

これらは祝い事を連想させるため、避けるのが一般的になっています。

また、料理を用意する際にはアレルギーなどについても事前に聞いておくのが親切でしょう。

電話などで精進落としに招待する際にアレルギーの状況を聞いておくのがおすすめです。

席順は末席に座るのがマナー

精進落としの際の席順に関しては、原則、喪主と親族は末席に座るのが基本です。

すでに解説した通り、精進落としはあくまでも僧侶や世話係などの会葬者をもてなすための儀式です。

そのため、喪主や親族などのいわゆる主催者側はもっとも末席に座り、招待客として訪れる会葬者を上座に座らせるのが基本的なマナーなのです。

会葬者の席順に関しては、僧侶、世話役、関係者友人その他というような順番が一般的です。

喪主の挨拶に始まり、ひとりひとりへお酌する

精進落としは喪主の挨拶から始まります。

この挨拶に関しては、記事の最後に例文として紹介していますので是非参考にしてください。

始まりの挨拶が終わったら、喪主や親族が会葬者ひとりひとりに対してお酌をし、簡単な挨拶をして回ります。

感謝の意を込めたお酌回りなのですが、ひとりひとりに対してあまり時間をかけてしまうと宴会が長引きますので、各々への挨拶はできるだけ手短に行いましょう。

できるだけ短く長引かせないことも重要

会食に参加している人たちにはそれぞれ都合がありますので、だらだらと長時間やるものではありません。

基本的には1時間半~2時間程度で終わるのが普通です。

どんなに長くても、2時間程度ではお開きの言葉を述べるようにしましょう。

出席している側からすると、喪主や親族と会葬者がしゃべりこんでしまい、なかなか会食が終わらないというのはとても帰りにくい状況になります。

会葬者ひとりひとりの都合を考慮して、帰りたい人はいつでも帰れるような心遣いは大切です。

招待され参加する場合のマナー

今度は精進落としに招待された場合のマナーです。

主催する側よりも守るべきマナーは少なくなりますが、だからこそ最低限はしっかり押さえておくようにしたいですね。

喪主や親族の誘導に従って座るのがマナー

上でも解説した通り、通常は主催者側が事前にある程度の席順を決めています。

そのため、出席をした段階で喪主や親族から席の案内をされるはずです。

このときに上座方面へ誘導されて遠慮するのは間違いで、あくまでも誘導に従って素直に座るようにしましょう。

万が一、誘導されなかった場合や忙しくて喪主や親族からの案内を受けることができなかった場合には末席方面へ座るようにしましょう。

場にふさわしくない話題は避ける

その場を素直に楽しみ、お互い労をねぎらいあうのが基本ではありますが、だからといって羽目を外しすぎるのは当然NGです。

大声での会話や暴言などはやめましょう。

また、故人の最後や死に関する話は避けたほうがいいです。

故人の思い出話は良いとされますが、病気の内容や最後の様子、死因などを話題にするのはマナー違反になります。

お悔やみの言葉は特にいらない

お通夜などではお悔やみの言葉を言うのがマナーになりますが、精進落としの場では基本的にお悔やみの言葉を改めていう必要はありません。

その代わり、喪主や親族に対して『気を落とさずに』程度の軽い励ましの言葉をかけてあげるのがマナーになります。

ここでもあまり話し込んでしまうのはNGです。

乾杯は杯を上げるだけ

乾杯の挨拶を喪主がしたとしても、通常の乾杯のように杯と杯を合わせるのはマナー違反です、

これはおめでたい席でされる乾杯であり、精進落としの場では杯を少し上へ持ち上げる程度の乾杯をするのが基本です。

基本はこれだけ!挨拶の簡単な例文を紹介

精進落としの際の始まりの挨拶として重要なのは以下の3つのポイントを押さえることです。

始まりの挨拶のポイント
・葬儀を滞りなく終えることができたことへの感謝
・故人の生前のエピソードを簡潔に
・料理を召し上がってくださいという結びの挨拶

一方、結びの挨拶としては以下の2つのポイントを押えましょう。

結びの挨拶のポイント
・出席してくれたことへの感謝
・帰り道の気遣い

精進落とし始まりの挨拶

「本日は、故○○○の葬儀にお力添えをいただき、まことにありがとうございます。おかげさまで、無事に葬儀を終えることができました。故人もさぞ喜んでいることと存じます。改めてお礼申し上げます。ここにささやかではありますが、精進落としの小膳を用意いたしました。どうぞお召し上がりのうえ、おくつろぎください」

「皆様、本日は大変お世話になりました。
皆様のお力添えのおかげで通夜から葬儀・告別式を滞りなく済ませることができました。
ささやかではございますが、精進落としの席をご用意いたしました。 
皆様のお疲れをいやすことができればと存じます。
故人の思い出話をしながら、ごゆっくりとお召し上がりながらお寛ぎいただければと存じます。
ありがとうございました。」

「今日は父○○の葬儀に際しまして、みなさまに大変お世話になり、ありがとうございます。  おかげさまで、とどこおりなく葬儀、告別式の一切を無事終えることができました。故人もさぞ喜んでいると思います。遺族一同より、改めて心よりお礼申し上げます。  
 父は、ご近所の方とのお付き合いが大変好きで定年退職後は、共同で畑を借りて野菜づくりを楽しんだり、地域のお祭りや、盆踊りもとても楽しみに参加していました。ご近所の方やお友達との楽しい話を聞くことができなくなることはとても寂しくなると思います。  
 みなさまには、父が存命中と変わらぬお付き合いを賜りますようお願い申し上げます。 長時間お付き合いいただきまして、ありがとうございました。  
 ささやかではございますが、精進落しの膳をご用意いたしました。
どうぞごゆっくりお過ごしください。  本日は、まことにありがとうございました。」

「本日はご住職様をはじめ、お世話いただきました皆様方のお陰で、葬儀一切、無事終了することができました。いろいろとお心づかいをいただき、誠にありがとうございました。故人も喜んでいることと思います。改めて厚くお礼申し上げます。 皆さま、さぞかしお疲れのことと存じます。ささやかではございますが、精進落としのお膳を用意いたしましたので、ごゆっくりお過ごしくださいませ。今後とも変わらぬお付き合いを頂きますよう宜しくお願いいたします。 」

「本日はお忙しい中、亡き○○の葬儀にお付き合いいただき、誠に有難うございました。

皆様のお力添えにより、無事に葬儀を終える事ができました。
ささやかではございますが、精進落しのお膳を用意させていただきました。
故人を偲びながら召し上がっていただければ幸いです。

本日は誠にありがとうございました。」

精進落としお開きの挨拶

「本日は、皆様まことにありがとうございました。もっとごゆっくりしていただき、○○○の思い出を語っていただきたいところですが、あまり長くお引き止めしては申し訳ありませんので、このへんでお開きにさせていただきたいと思います。これからもお世話になることと存じますが、どうかよろしくお願いいたします」

「皆様、本日は長い時間、最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。
皆様に惜しんでいただきいただき、故人もさぞかし喜んでいることと存じます。
故人の思い出話をもっとお伺いしたいところではございますが、皆様もお疲れのことと思いますので、本日はこれにてお開きとさせていただきます。
あたりも暗くなっております。どうぞお気をつけてお帰りください。
本日は誠にありがとうございました。」

「本日は亡き○○のために、いろいろとお心づかいをいただき、誠にありがとうございました。
お名残り惜しくはございますが、お忙しいかたもいらっしゃいますことでしょうから、あまり長くお引きとめしては申しわけございません。勝手ではございますが、本日はこの辺で終了させていただきたいと存じます。
なお満中陰の法要は、○月○日○時より、自宅で行う予定でございます。
お忙しいとは存じますが、皆さまにはお繰り合わせのうえ、ご参列くださいますよう、お願い申し上げます。 」

「本日は、亡き○○の為に、お心づかいを頂戴し、誠にありがとうございました。
もっとごゆっくりしていただきたいところでございますが、お忙しい方々を長くお引止めしては申し訳ございませんので誠に勝手ではございますが、本日はこの辺でお開きにさせていただきたいと存じます。
不行き届きの段は、どうぞお許しくださいませ。

なお、満中陰の法要は、○月○日○時より自宅にて行う予定でございます。
お忙しいとは存じますが、皆様にはお繰り合わせのうえ、ご参列くださいます様お願い申し上げます。

本日はありがとうございました。」

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