切腹の痛みはどのくらいか。一晩中苦しむってマジ…?

歴史

武士の誇りとして名誉ある死に方とされたのが切腹です。

時代劇などではよく出てきますが、想像しただけでも恐ろしい自害の仕方ですよね。。。

そんな切腹って実際のところどれくらい痛いものなのでしょうか?

一説によれば、『気を失う寸前の激痛が何日間も続く』といわれていますが、それって本当なのでしょうか?


腹部大動脈を切り裂けるものはそうそういなかった

切腹はご存知の通り、短刀を自分の腹に突き立てるわけですが、このやり方で本当に死ぬことができたのでしょうか?

答えはNOです。

実際には時代劇などで見るようなきれいな切腹ではなく、腹に短刀を突き立てた後に激しくのたうち回り、武士の威厳なんてあったもんじゃないほどだったそう。

というのも、腹を切ったくらいでは即死することは到底できません。即死するためには腹部大動脈という太い血管を切らなければなりませんが、この血管は背骨の付近にあります。

それほど深く自ら短刀を差し込むことは、当時の武士であってもできるものは少なかったといわれています。

浅いと想像を絶する苦痛を伴う

戦国時代や江戸初期の武士であっても、切腹をした際に深く差し込めず、相当苦しんだ人も多かったみたいです。

刺さり方が浅すぎた場合、短刀は小腸や大腸までしか達しません。そうすると、傷口から便は垂出るは血は噴き出すはで、その光景は相当凄惨だったといいます。

この状況で絶命するまでを考えてみると、医学的には最終的に敗血症になって絶命するというのが普通です。敗血症というのは感染症の一種で、さまざまな臓器が機能不全に陥っていく病です。

一般的に敗血症は臓器が腐りますので、そう考えると絶命するまでに想像を絶する苦痛と痛みが伴ったことが分かります。

十文字腹は次第になくなっていった

このように、めちゃくちゃ痛かったわけですが、戦国時代を生きた武将たちは『そこまでの痛みを伴って死ぬからこそ名誉』と考えました。

ちょっと今じゃ考えられない思想ですが、自らあえて苦しい道を選ぶことが武士の誇りだったんですね。

ただ、これほどまでの苦痛を味わう切腹というのは次第に姿を消していきます。時代を追うにつれて、本当にそこまでの苦痛を味わってまで自害する必要ってあるのか?せめて楽に最期を迎えさせてあげられないか?と考えられたんですね。

そして、切腹の歴史は変わっていきます。切腹が登場した平安時代から戦国初期にかけては自らの力のみで絶命する十文字腹というのが一般的でしたが、時代を追うにつれ、そこに介錯人が入り、最終的には短刀すら突き立てないようになりました。

短刀を使わずに扇子で切腹

短刀を使わない?扇子で切腹ってマジ?

そんな風に思う人も多いともいますが、扇子で死ぬことなんて当然できません。できたとしても短刀以上の苦痛を伴うでしょう(笑)

江戸時代になると、戦国時代に行われていたような切腹は姿を消し、あくまでも形だけの切腹になりました。

具体的には、扇子を自らの腹に当てた直後に、介錯人が首をはねます。つまり、最終的に残ったのは介錯だけだったということですね。

このやり方であれば、腹を切らずに済むため、ほぼ即死に近い状態で絶命をすることが可能です。

切腹に対して素晴らしいイメージを持ちすぎている場合、この扇子を使った切腹を知るとがっかりすると思います。ただ、この切腹であってもかなりの覚悟が必要だったことはいうまでもありません。

そう考えると、戦国時代初期の武将たちはすさまじい覚悟を持っていたことが分かりますね。。。

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