時代劇などを見てると、奉行所やお奉行様なんて言葉をよく聞きますよね。一般的にはテレビドラマ化されていた南町奉行の大岡越前が有名です。
そんな役人が働いていた奉行所の役職や階級ってどのように分かれていたのでしょうか?
奉行所というと、よく現代の警察のようなものと表現されますが、実は現代の警察よりもはるかに幅広い業務を行っていました。
そして、役職や階級に関しても、現代の警察よりはるかに細かく分かれていました。
ということで、ここでは分かりやすく奉行所の役職を見ていくことにしましょう。
役職を大まかに分けると3つ!
まずは奉行所の役職を大きく分けると、『奉行』、『与力』、『同心』という風に分けられます。もちろん、奉行が一番位が高く、その次に与力、同心という順番です。
奉行所というのは江戸町奉行とその他の藩や国に設置された町奉行を総称する言葉ですが、各奉行所にこのような役職を持った人間がそれぞれいたということになります。
奉行は奉行所のトップなので1人だけ。
ただ、与力は非常に細かく役職が分けられていて、奉行所でのメインの業務をこなす人だったといわれています。
そして、この与力のお手伝いをする役職が同心。同心は与力1人に対して約3人が付いたといわれています。
あくまでも同心は奉行所内で雑務などを担当する人たちであったことから、このなかで細かい役職わけはなかったそうです。
与力の役職を細かく見てみよう
ということで、ここからは奉行所のなかでもメイン業務を担当していた与力の役職を取り上げます。とりあえず、役職一覧をランク順に紹介すると以下のような形です。
- 内与力
- 年番方与力
- 本所方与力
- 養生所見廻り与力
- 牢屋見廻り与力
- 吟味方与力
- 赦帳撰要方人別帳掛与力
- 高積見廻り与力
- 町火消人足改与力
- 風烈廻り昼夜廻り与力
- 例繰方与力
- 町会所掛与力
- 定橋掛与力
- 古銅吹所見廻り与力
- 市中取締諸色調掛与力
- 猿屋町会所見廻り与力
- 御肴青物御鷹餌耳掛与力
- 諸問屋組合再興掛与力
- 非常取締掛与力
- 人足寄場定掛与力
- 硝石会所見廻り与力
もちろん年代や奉行所によって細かい役職は異なっていましたが、おおむねこのような役職があったといわれています。
このなかでも有名な役職をいくつか紹介してみると、『内与力』や『吟味方与力』、『町火消人足改与力』あたりでしょうか。ここからこの3役について詳しく見てみましょう。
内与力
内与力は与力のなかでもっとも高い位でした。定員はおおむね3名ほどで、奉行のそばにいつもいたそうです。
そして、基本的な業務は奉行の仕事を補助したり、重要な業務の手伝いをするなどがメインでした。今風に言えば、奉行の秘書的な感じでしょうか。
奉行のなかでも重要な役職であったとことは確かです。
吟味方与力
単に吟味方や詮議方とも呼ばれました。
基本的には現代における裁判の審理を行う役目を担っていて、拷問の監督なども行ったといわれています。拷問だけでなく、取り調べももちろん行いますので、現代で言うところの裁判所判事、刑事などを兼務する感じでしょうか。
この与力の内訳は、本役4人・助役4人・見習2人だったそうです。
町火消人足改与力
いわゆる『火消し』です。その名の通り、防災関連の指揮監督を行っていた役人です。今でいうと消防署のお偉いさんという感じでしょうか。
普段の定員は2名だったそうですが、乾燥して火事が多くなる時期になると3名制担ったそうです。
指揮監督ではありながらも命がけの仕事であったといいます。
奉行所役人の給料はどれくらいだった?
最後に奉行所で働いていた人々の給料についてみておきましょう。
役職もたくさんあり、階級も色々分かれていたので一概には言えませんが、与力の場合には現在のお金に換算して年間の手取りが約500万円くらいだったといわれています。
ただし、ある程度の地位にある人には付け届けといういわゆる便宜を図るチップみたいなものがあり、これが大きな副収入となっていました。いろんな説がありますが、ある話によれば3000万円~5000万円もの付け届けがあったとも言われています。かなりの副収入ですね。
これが江戸町奉行とかになるとさらに金額が上がり、付け届けだけで1億以上あったという説もあります。
そして、奉行所トップのお奉行様ですが、これがまたすごい。例えば、ある時代の南町奉行の年収はおよそ3億2000万円ほどといわれています。
いずれにしても、奉行所の役人たちはとてもリッチな生活をしていたんですね。