『新しい靴を夜におろしちゃいけないよ』
聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
昔から親に言われていたとか、先祖代々言い伝えられているという人も多いはずです。
でも、じゃあなんでダメなの?と聞かれると、『特に理由はわからないなぁ…』ってなりませんか?
実は私も昔からそういわれて育ってきました。
ただ、明確な理由は言われなかったんですね。
気になったので調べてみると、新しい靴にまつわるジンクスや迷信にはいろいろな面白いエピソードがあることが分かりました。
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目次
新しい靴を夜におろすのが悪いといわれているのは昔からの風習
この風習は日本に古くから伝わるものです。
海外ではこの風習はありませんね。
なんでか?という理由については諸説ありますが、人の『死』を連想させるというのがもっとも一般的ですね。
お通夜の時に新品の靴をおろすのが一般的だった
時代は江戸時代にまでさかのぼります。
当時は今のように靴をいくつも保有しているような習慣はなく、日や気分によって靴を履き替えることもなかったんですね。(一般庶民の話です)
ただ、そんな庶民でも冠婚葬祭などの場には新しく綺麗な靴を履いていくのが一般的だったようです。
そのなかでも、夜にやるものといえばお葬式ですね。
ここから『新しい靴を夜におろす=お通夜』というイメージが来ています。
お通夜=誰かが亡くなるということですので、縁起が悪いといわれているんですね。
近親者が棺を運ぶときには靴を履いたまま
身近な人が亡くなった場合、近親者で棺を家から外に運び出します。
このとき、通常は靴を家のなかで履いたまま外に出ます。
棺を持ったまま靴を履くのは棺を落とす危険性があって大変ですし、非効率ですよね。
だから靴を事前に履いておくのですが、この棺を運び出す行為を連想させるため
江戸時代には藁草履を故人に履かせた
正直、この風習は私の住んでいる地域では聞いたことがありません。
ただ、一部の地域では江戸時代以前からこの風習が残っているとのことです。
上で書いたのはあくまでも亡くなった故人の棺を運び出す近親者の話ですが、個人自身にも新品の藁草履をはかせるという風習があったようです。
こうすることで、死後の旅立ちをサポートしてあげるというような意味合いがあったのでしょう。
この点からも、死を連想させるということが分かりますね。
新しいものを夜におろすと神様が怒る?
夜に新品を使うのは神様に失礼という考え方もあります。
これは一部の地域で伝わっている考え方のようですが、神様を祀る神社や神殿は夜になると神様がいなくなるそう。
新品はまず神様におそなえするのが慣わしということで、神様のいない夜に新品を使うのは失礼に当たるという話です。
ただ、一方で夜は神の世界になるという話もあります。
夜は神の世界になるからこそ、神事は夜に執り行われることが多いという説です。
まぁこのあたりも地域によっていろいろあるということですね。
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『新しい草履を履く=死』という決意はあの千日回峰行にも
少し話はかわりますが、千日回峰行っていう荒行をしっていますか?
荒行のなかでももっとも過酷といわれている荒行で、千日間山を歩き続ける行です。
これだけでも過酷ですが、最大の苦行といわれているのがその途中に行われる堂入り。
9日間、眠らず、横にならず、食べず、飲まず、を貫き通して、読経を続ける修行です。
この修行中に山へ歩きに行くとき、藁草履を部屋のなかではきます。
これは、死を意味することをあえてすることで、過酷な修行への決意を表しているとされています。
千日回峰行について興味のある人は調べてみると分かりますが、白装束に短刀、首つり用のひもを腰に巻いているという姿からしても死への覚悟を表しているのが分かります。
このような古くから伝わる修行にも、日本古来の風習は残っているんですね。
夜に新しい靴を下すときにはどうすればいいのか
あくまでも迷信ですので、別に夜に新しい靴を履いたからといって何かが起こるわけではありませんが、由来を聞いてしまうとあまり気持ちいものではありませんよね。
でも、新しい靴をどうしても夜に履いていかなければならない。
そういう時にはどうすればいいのか?
これも家庭や地域によっていろいろな言い伝えがあると思いますね。
ただ、一般的には『靴をあえて少し汚しましょう』と言われています。
私も昔から親にそうやって言われていました。
子供のときに新しい靴を履いて外に出ていこうとすると、『ちょっと待って!!』といわれて、靴の裏にマジックでばってんマークを書かれた記憶があります。
そこまでする?と子供ながらに疑問でしたが、調べてみると本当に死を連想させるちゃんとした理由があったんですね。
ちなみにここで紹介したもの以外にも、
- 新しい靴は朝におろさなければならない
- 新しい靴は誰かに踏んでもらわなければならない
- 新しい靴を下した次の日が雨だと願いが叶う
- 新しい靴を下すときには靴の裏を火であぶる
などなど、いろんなジンクスが存在します。
最後のやつは下手したら燃えますけど(笑)、人の信じる心が生み出すものなので、それぞれの風習を大切にしたいですね。