【地震前兆?】朝焼けにまつわる噂と雨が降る理由

サイエンス

早朝、朝日が昇るときにまだ暗い空を見上げると、紫や赤色に空が染まることがあります。

この怪しくもあり、またきれいでもある朝焼けは昔から民間伝承としてさまざまな噂とともに語られていきました。有名なのは『朝焼けが起きると地震の前兆だ』というものや『朝焼けが起きると天気が荒れる』というものです。

どちらも単なる迷信だろって言いたくなる気持ちも分かりますが、意外と当たるのが面白いところ。

そこで、朝焼けが地震の前兆といわれていたり、雨が降るといわれている理由を科学的に考えていこうと思います。


3.11東日本大震災で観測された朝焼け

東北地方(特に福島県)を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災。関東地方でも大きな揺れを観測し、記憶に残っている人も多いでしょう。

そんな東日本大震災の前にも、実は朝焼けが観測されていました。宮城県在住の人の話によれば、『3月11日の早朝の空が異常に赤く染まっていた』とのことです。

他にも動物が異常行動をしたり、野生の鳥(カラスやすずめ)が全く姿を見せなくなったなどの声も寄せられています。

これをどう捉えるかは人それぞれですが、物理学の世界でも『宏観異常現象』と呼ばれ、意外と本気で研究している学者もいるんです。

ちなみに、朝焼け自体のメカニズムは科学的にわかっており、それは夕焼けとほぼ同じメカニズムで発生します。以下、夕焼けの原理です。

光は一般に、その固有波長が障害物よりも大きければ通過しやすい傾向にあり、この現象はレイリー散乱と呼ばれる。日中は長波長(約700nmの視野には光源である太陽の見た目の大きさの範囲に収まってしまう。一方短波長(約470nm)の青色光は大気の熱的ゆらぎにより散乱するため空は青く見える。しかしながら夕方になると光線の入射角が浅くなり、大気層を通過する距離が伸びる。すると青色光は障害物に衝突する頻度が増し、かえって吸収されるなどの要因から地表に到達しにくくなる。代わって黄(約580nm)、橙(約610nm)、赤などの長波長光線が散乱され、太陽が沈む方向の空が赤く見えることになる。

この原理とほぼ同じ理由で朝焼けが起きます。

結論としては、朝焼けと地震に科学的な因果関係は認められないのですが、経験則として朝焼けの後は何らかの天災が起こるといわれているのは事実です。

そして、結構な確率で当たるのも事実です。

『明日の天気がわかる本』(新星出版社)や『実践的お天気入門』(山海堂)などの書籍でも紹介されていますが、『夕焼けの翌日に晴れとなる確率は70%、朝焼けの翌日に雨となる確立は60%』といわれています。

これは天気に関する統計データですが、地震などの自然災害との関連性を調べた統計データがあれば何らかの相関関係が認められる可能性もあります。

朝焼けが起きると雨が降るといわれる理由

では、なぜ朝焼けだと天気が荒れるのでしょうか?

理由のひとつとしては、『天気が西から変わっていくから』というものがあります。

朝焼けは東の空が晴れている状態です。天気は西から変わっていくので、晴れの後は雨という単純な理由からそう言い伝えられてきました。

天気が繰り返す理由としては、日本の場合移動性高気圧とその間に生じる低気圧が交互にやってくるということが発祥といわれています。

上に記載した統計データにもあるように、60%~70%程度の確率で当たるというのは完全な迷信と言い切ることはできませんよね。実際に昔の人はコレで天気を判断していたという話もあります。

これが地震と結び付けられると咄嗟にトンデモ話として嫌う人も多いですが、因果関係がないという証明ができない以上、相関関係があってもおかしくないわけです。

分からないこと、理解できないことをすべて否定するのではなく、異常気象(宏観異常現象)が起きた後には気持ちだけでも災害などに備えておくのは大切なことかもしれません。

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