【2020年までは無理?】自動運転の実用化はいつごろ可能?立ちはだかる多くの課題

サイエンス

数年前から自動運転の実用化が本格的に議論され始めました。

人が全く関与しなくていい完全自動運転というのは昔であればSFや漫画の世界の話だったのが、本気で実現され始めようとしています。

巷では、東京オリンピックが開催される2020年が自動運転の実用化『元年』だとする説が一般的なようですが、果たして本当に2020年までに実用化は可能なのでしょうか?

ここでは2018年現在の最新研究や最先端テクノロジーを鑑みて、現実的にいつごろ自動運転の実用化が可能なのかを取り上げたいと思います。


2020年までに完全自動運転が『技術的』には可能

日本の大学や海外の企業など、自動運転技術の開発に力を入れているところの最新研究を見てみると、巷で言われているように2020年までには完全自動運転が可能になるようです。2020年というのは単なるうわさではなく、本当だったんですね。

ただ、これはあくまでも技術的に可能なだけで、本当に実用化されるかどうかは見通しが立っていないというのが現状です。

これはどういうことかというと、技術的には実用可能であっても、実用化までにクリアしなければならない壁が技術面以外にもたくさんあるということです。

2018年現在の段階で人が運転席に座っている状態で一部だけを自動運転に頼るというシステムはすでにリリースされています。具体例を挙げると、アウディが2016年に発売したAudi A4に搭載されている『トラフィックジャム・アシスト』という機能です。

これは渋滞時のみに適用されるもので、車間距離を安全な状態に保ちアクセルとブレーキ操作を自動で行ってくれるというものです。

このように運転の中の一部だけを自動運転化させるということはすでに実用化されており、日本の企業で言えば日産などが自動運転を先導しています。

この調子でいくと、人間が運転するよりも事故率が圧倒的に低い自動運転車は2020年までにはほぼ確実にできるだろうといわれているんです。

しかし、そこには技術面以外の課題が山積しています。それが法律面や倫理面の課題です。

自動運転実用化のために法律の壁をどう乗り越えるか?

実用化の際にもっとも大きな壁だといわれているのが法律です。

現在の法律ではもちろん自動運転を前提とした条文などはありません。

この状態で実用化された場合、万が一事故を起こしたら誰の責任になるのでしょうか?

通常は交通事故の現場を警察官などが見て、裁判や弁護士を入れて法律的に過失割合が判断されます。

しかし、自動運転の場合には車の持ち主がその責任を負うのでしょうか?それとも自動運転機能を搭載した車の販売会社が負うのでしょうか?

また、そもそも実用化のために必要な試験的な運転が現在の法律では無理だといわれています。

完全自動化させるためには、状況に合わせて適切な判断を下せるいわゆるAI(人工知能)が必要になってきます。

このAIというのは経験を積むことで学習していき、その制度を高めていくというところに特徴があります。

そのため、そもそも試験的な走行が公道で出来ないのであれば、AIの精度を高めることすらできないということなのです。

AIに豊富な運転の経験をさせ、その制度を確かなものにするまでにはかなりの月日がかかるのではないか?といわれています。

安全に対する考え方や倫理観

これも大きな課題です。

安全な運転と一口に言っても、安全というのは色々あります。人の数だけその概念があるといっても過言ではありません。

あるサイトに面白い例が載っていました。

一般道を走行中に、突如直前の道路が陥没してしまったとします。ブレーキも間に合わないため、これを避けるためには歩道に乗り上げるしかないのですが、歩道にはたくさんの歩行者おり、怪我をさせてしまうことは必至。
その場合、自動運転システムは「ドライバーの安全を優先する」か「歩行者(他人)の安全を優先するか」の判断を迫られます。
はたして、どちらの判断が“正解”といえるのか。

人によって出す答えは違うでしょう。

このようなときに、AIであれば事前にプログラミングされた行動をとるはずですが、そのプログラミング自体は人間が行うため、どのような判断基準を持って安全運転をするのか?というのは非常に大きな課題です。

また、倫理観とは少し離れますが、自動運転ではない車と、自動運転車が混在することのリスクも大きいと考えられています。

すべてが自動運転車であればお互いがお互いに同じ判断基準のもと安全運転をしますが、人が運転している車が混在していると想定できないような事故にも遭遇する可能性があります。

このように、技術的にはクリアしていてもそれ以外の部分で抱えている問題点は意外と多いのが実情です。

結局自動運転の実用化はいつごろ可能になるの?

色々みてきましたが、技術面以外の課題もクリアすることを考えた場合、どれくらいに実用化が可能になるのでしょうか?

これも色々な意見がありますが、一番有力なのは2030年くらいというのが一つの目標のようです。

このくらいまでには実際に日本やアメリカなどの先進国で自動運転車が販売され、一般の人が普通の生活の中で使えるような整備がなされるものと考えられています。

自動運転が実用化することで確実に生活は便利になります。

しかし、その一方で今まででは考えられないような大事故が起きてしまう可能性も現状でははらんでいるということです。

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