クローンが一般的に話題になって久しいですね。
世間では、クローン技術で生まれた羊のドリーをきっかけに有名になりました。
そんなクローン技術ですが、現実的な有用性にはどんなものがあるのでしょうか?
ここでは、特にクローン動物を作り出すことの有用性についてみていきたいと思います。
目次
クローン技術とはどういうもの?基本を簡単におさらい
そもそもですが、クローン技術というのは別に最近出てきたものではありません。
冒頭に書いた羊のクローンに関しては、1981年に初めて作製されたものの、植物や農業の世界では当たり前のように利用されてきました。
一番初めにこの技術を確立したのが、アメリカの植物学者であったハーバート・ジョン・ウェバーです。
1903年のことで、一般的な種子などを経由せずに茎や葉などの栄養器官から繁殖させる技術である栄養繁殖を編み出しました。
これが後のクローンと呼ばれる原型です。
それ以降、安定的に同じような作物を作り出すという観点で、このクローン技術は私たちにとって欠かせないものになったんですね。
クローン技術を動物に応用させることの有用性
上で解説したように、クローン技術は農業でとても重宝されています。
同じような味わい、同じような色合いの農作物を安定的に作り出すためにはクローン技術が不可欠です。
では、動物に応用するというのはどのような意味があるのでしょうか?
これについては主に、以下の2つのメリットがあるといわれています。
- 家畜の安定供給
- 絶滅危惧種の保護
以下、それぞれについて簡単に見ていきましょう。
家畜の安定供給
これが一番大きなメリットとして期待されています。
現在世界的に広く利用されている植物や農作物に対するクローン技術と意味合い的には同じですね。
例えば、日本でも松坂牛や神戸牛などのブランド牛がいますが、これらの個体は貴重であるがゆえに価格が高騰します。
しかし、クローン技術を使えば安定的に同じ遺伝子を持った牛を育てることができるため、安定的に家畜の生産ができるということになります。
これは食糧として食べている我々人間からするととてもありがたいことですね。
絶滅危惧種の保護
これも大きなメリットです。
世界にはあとわずかしか種が残されていない絶滅危惧種が多数います。
一旦絶滅してしまったら、二度と地球上に姿を見せることはありません。
そんな動物を保護するための方法として、既存の絶滅危惧種である動物から遺伝情報を抜き出し、クローン動物を作り上げるのです。
こうすることで、とりあえずの種の保存は可能になります。
他にもメリットは多数ある
主に言われているのは上の2つですが、実はこのほかにもメリットは多数あります。
例えば、医薬品の製造販売などにも効果を発揮します。
医薬品を製造するためには、微生物などの存在が不可欠です。
この微生物に対してクローン技術を使えば、安定かつ安価な医薬品製造に役立つのではないか?と期待されています。
他にも、実験用動物の作製なども非常に関心を集めています。
メリットは多いがデメリットも多い
ここまで見た通り、クローン技術にはかなりの可能性が秘められていて、有用性も大きいです。
しかし、その反面デメリットも忘れてはいけません。
実際にクローン技術によって生み出されたクローン動物はもとの動物よりも寿命が短いといわれています。
これはあくまでも仮説段階なので、正確ではありませんが、遺伝情報を解析してみてもこの可能性は高いといわれています。
また、人間に使うことについては尊厳や倫理という観点からかなり難しいです。
動物への応用が効き、安全性が担保されたとしても、倫理的に人間へクローン技術が使われる日はまだまだ先だと思われます。
今現在、まだまだクローン技術は安全性が確認されていません。
そのため、動物実験の段階でストップしていますが、今後の研究によってどのような進化を見せてくれるのか楽しみですね。