政府系金融機関である商工中金で不祥事が報道されましたね。
商工中金(株式会社商工組合中央金庫)は日本の特別法によって運営されている政府系金融機関で、民間と政府が共同で運営を行っている金融機関です。
最近は大手企業や政府関連での問題が非常に多く取りざたされていますが、今回は商工中金。正直またか・・・という感じですね。
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商工中金の不祥事
はじめの報道は2016年の10月ごろの話。第一の速報で流れたのが以下のような報道でした。
商工組合中央金庫は6日、鹿児島支店の職員が取引先の財務諸表を改ざんして不正に融資をしていた問題を巡り、名古屋支店などでも同様の不正が発覚したと発表した。不正融資に関わった職員は15人、口座数は221口座にのぼった。今後も調査を継続する方針だ。
商工中金が2016年4~9月に遡って全店で調査したところ、鹿児島支店の11人のほか名古屋支店で3人、長野県の松本支店で1人が顧客の試算表などを改ざんしていたという。
商工中金は11月に自然災害などで一時的に業績が悪化した企業向けに融資する「危機対応業務」で売上高を書き換えるなどの不正があったと公表した。今後も第三者委員会による調査を続け、職員の処分や顧客への対応を検討する。出典:日経新聞
この段階で不正の件数は221件ということで、今後の調査でさらに拡大するとみられていました。
そして今回第三者委員会によって発表された調査結果に基づいて報道されたものが以下のようなものです。
政府系金融機関の商工中金で不正融資が発覚した問題で、経済産業省は9日夕方、業務改善命令を出す方針。
世耕経産相は「今の役員を減給処分するだけで済む話ではない。問題の所在と根本原因を特定することが重要」と述べた。
世耕経産相は、国の制度融資で不正な貸し付けを行っていた商工中金に対し、全容を解明し、組織体制を見直すよう求めた。
経産省は、業務改善を命じる方針。
商工中金は、経営が悪化した企業に低金利で資金を貸し出す制度をめぐり、本来対象でない企業に融資を行うなど、816件の不正行為があったと発表している。
国の制度を悪用した非常に巧妙な手口による犯行です。
組織ぐるみで開山を行うというのは金融機関の命とも言える信用を地に失墜させる行為でもあります。
名古屋・鹿児島・松本支店が不祥事に関連
第三者委員会の調査報告書によれば、全国35の支店と職員99人が不祥事に関与したとしています。
政府系金融機関の商工組合中央金庫(商工中金)が、国の制度融資の条件を満たさない取引先に不正に融資した問題で、同社の第三者委員会は25日、調査結果を発表した。全国の35支店で職員99人が関与し、貸付額は計198億円、国から不正に受けた利子補給は計1億3千万円にのぼった。一部の不正は2年以上前に本店が把握したが、問題がないとして処分されなかったこともわかった。
出典:朝日新聞
一定の結果が出たため、第三者委員会は調査結果を発表したわけですが、まだまだ闇は深いといわれています。
現在のところ、この事件に関与したのは名古屋・鹿児島・松本の各支店などのようです。
しかし、今後さらに関連が疑われる支点も出てくる可能性があります。
第三者委によると、不正には35支店で99人の職員が関与。制度の適用を受けるため、取引先760口座の資料が改ざんされ、うち348口座は、制度の条件を満たしていなかった。
池袋支店(東京)では、2014年12月から15年1月の本店の監査で、計110件の資料改ざんが発覚。しかし問題がないとして処分していなかった。
不正融資の根源は幹部職員か?
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この事件の真相はまだまだ深いところにありそうですが、不正融資の根源は一部の幹部職員であるという見方があります。
一部の情報によれば、商工中金の職場の雰囲気は部署によっては非常に悪く、上司から罵倒されることも。
さらに融資に対しては毎月厳しいノルマがあるため、それをクリアすべく部下は必死になって頑張ります。
しかし、いくら頑張っても達成できないノルマ。
一方で、上司からはノルマを達成しなければ罵倒される。
そんな板挟みのなかで不正融資が行われたのではないか?という見方が強いようです。