競技かるたのルールを簡潔に解説!読み方や並べ方、お手つき、渡り手まで

娯楽

広瀬すずさん主演の『ちはやふる』が大ヒットしました。

これをきっかけに競技かるたに興味を持った人も多いのではないでしょうか。

『かるた』と聞くとどうしても正月の遊びとか、子供の遊びというイメージが強いのですが、実際に競技かるたを見てみるとその世界は遊びという雰囲気ではありません。

まさに真剣勝負の世界で、ものすごい集中力を要します。

実際に映画ちはやふるのなかでも、そんなガチ真剣勝負の世界が生き生きと描かれています。

まだ見たことがない方はぜひ見てみるといいでしょう。

ここではそんな競技かるたのルールや基本知識を誰にでも理解できるように簡潔明瞭に解説していきます。

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競技かるたの基本ルール

競技かるたは『小倉百人一首』の100枚の札を用いて行われる競技です。

試合は基本的に1対1で行われ、いかに早く読まれた札をとることができるかという勝負です。

これは昔懐かしい普通のかるたと同様ですね。

ただ、競技かるた独特のルールというものも存在します。

かるたの並べ方は25枚ずつ計50枚

競技開始のまえに、お互いで100枚の札を裏側にしてシャッフルします。

ランダムにした100枚の札のなかから、お互いに25枚ずつ取り、自分の陣地に並べていきます。

陣地のなかでの並べ方も決められており、左右87センチ以内に3段で並べます。

25枚ずつ並べるということは敵陣と自陣あわせて50枚が表になっている状態です。

百人一首は100枚の札がありますので、残りは50枚。

この残った札は競技には使用しません。

これをいわゆる『空札(からふだ)』と呼びます。

競技かるたは自陣の札をゼロにしたほうの勝ち

勝敗は自分の陣地にある札をいかに早くゼロ枚にするかで決められます。

ここで重要になってくるのが送り札という概念です。

送り札というのは、自分の陣地から相手の陣地に札を送ることを言います。

札を送るのは以下の2つの場合です。

送り札をする2つの場合
  • 敵陣の札をとった場合
  • お手つきをした場合

敵陣の札を取ると当然、敵陣の札が1枚減りますので、その代わりに自陣から1枚札を送ることによって敵陣の札の枚数は変わらず自陣の札の枚数が1枚減らします。

お手つきは大きく分けて3パターンある

競技かるたの勝敗を分けるうえで非常に重要になってくるのが『お手つき』です。

お手付きと聞けば『読まれたものと違う札をとってしまうこと』というのは何となくわかると思いますが、競技かるたではお手付きの状況は以下の3パターンに分類することができます。

お手つきのパターン
  • 自陣の札が読まれたのにも関わらず敵陣の札を触った場合
  • 敵陣の札が読まれたのにも関わらず自陣の札を触った場合
  • 空札が読まれたのに札を触った場合

50枚ある空札も読まれる可能性があります。

この空札が読まれたのにも関わらず札をとった場合、それはお手つきです。

また、自分の陣地にある札が読まれたのにも関わらず、相手の陣地にある札を触った場合にはお手つきになります。

この逆もまたしかりですね。

これは意外と知られていない競技かるたのルールなのですが、実は同じ陣地にある札であれば何を触ってもお手つきにならないことになっています。

【ちょっと補足】
同じ陣地にある札なら何を触ってもお手つきにならないということは、『読まれた瞬間適当にどちらかの陣地にある札を全部触ってしまえば一定の確率で取れるじゃん』と思うかもしれませんが、これでは絶対に勝てません。少し考えてみれば分かりますが、そもそも表になっている札が読まれる確率は50%です。そのなかからどちらかの陣地の札が読まれる確率はさらにその半分の25%。つまり1/4の確率ですね。1/4の確率を毎回重ねていたら、当然勝てないというのは当たり前のことです。

ちなみに、このルールを応用して行われる『渡り手』というテクニックがあります。

これについては後述していますので、そちらを参照してください。

競技かるたの読まれ方

競技かるたは上の句が読まれ、下の句を取るという競技です。

並べる札には下の句しか書いてありませんので、競技かるたをするためには百人一首の歌すべてを暗記しておかなければなりません。

「いやいやそんなの無理だよ~」と思うかもしれませんが、実はすべて覚えただけでは競技かるたで勝つことはできないのです。

これは映画『ちはやふる』のなかでも描かれていますが、競技かるたの大会に出場するような人たちは基本的に『決まり字』というのを覚えています。

決まり字というのは、上の句の冒頭にある何文字かが読まれた段階で下の句が決まるという部分のことです。

例えば、百人一首の87番には寂蓮法師が読んだ『むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆふぐれ』という句があります。

この上の句は『むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに』、下の句は『きりたちのぼる あきのゆふぐれ』です。

つまり、『むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに』が読まれたときに『きりたちのぼる あきのゆふぐれ』が書かれた札を取ればいいわけですが、実は百人一首のなかで『む』から始まる歌はこの87番の歌しかないんです。

これはいわゆる1字決まりというもので、『む』といわれた瞬間に『きりたちのぼる あきのゆふぐれ』をすぐに取ることができます。

決まり時はこのような1字決まりのものから6字決まりのものまであります。

6字決まりというのは6字目まで読まれなければ正確に判別することができない札で、特にこの札のことを『大山札』と呼びます。

ちなみに6字決まりの歌は全部で6句3組しかありませんので、参考までに以下に記しておきます。

6字決まり『わたのはら』
  • 『わたのはら ひとにはつげよ あまのつりぶね』参議篁
  • 『わたのはら くもゐにまがふ おきつしらなみ』法性寺入道前関白太政大臣
6字決まり『きみがため』
  • 『きみがため わがころもでに ゆきはふりつつ』光孝天皇
  • 『きみがため ながくもがなと おもひけるかな』藤原義孝
6字決まり『わたのはら』
  • 『あさぼらけ よしののさとに ふれるしらゆき』坂上是則
  • 『あさぼらけ あらはれわたる せぜのあじろぎ』権中納言定頼

競技かるたのテクニックや応用ルール

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上で解説したルールを一通り覚えておけば競技かるたを楽しむことはできます。

ただ、この基本ルールを応用したテクニックや発展的なルールもありますので、そのなかでも代表的なものを紹介しておきます。

ルールを利用した荒技『渡り手』

渡り手というのは、上で解説した『どちらか一方の陣地にある札が詠まれた場合には、その陣地のどの札を触ってもお手つきにならない』という基本ルールを応用したテクニックです。

同じ音で始まる音や決まり字が途中まで同じ札(友札)を事前に把握しておき、どちらかの陣地に2枚あるということがわかっている場合、正確に判別できる決まり字まですべて読まれなくても1音目でその両方の札を払う(取る)手法です。

つまり、1回の払いで2つの札を払うということですね。

こうすることによって、どちらか一方は必ず詠まれる札なので最速で取ることができます。

渡り手を使うためには、並べられている札のどこに何があるのか?という記憶力、決まり字を正確に判別できる判断力、素早い反射神経が必要な上級テクニックです。

慣れてきたらこれも頭に入れよう!『決まり字変化』

察しのいい人はすでにお気づきかもしれませんが、決まり字というのは競技が進行していく過程で変化していきます。

例えば『い』という音で始まる歌で考えてみましょう。

この音で始まる音は以下の3つ。

『いまはただ おもひたえなむ とばかりを ひとづてならで いふよしもがな』左京大夫道雅

『いまこむと いひしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな』素性法師

『いにしへの ならのみやこの やへざくら けふここのへに にほひぬるかな』伊勢大輔

この3つの歌のそれぞれの決まり字は『いまは』『いまこ』『いに』です。

ということは、競技が進行する中でひとつ目の『いまはただ おもひたえなむ とばかりを ひとづてならで いふよしもがな』が詠まれた場合、『いまこ』が決まり字だった『いまこむと いひしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな』という歌は『いま』が決まり字になります。

これが『決まり字変化』というものです。

すでに取った(もしくは取られた)札を把握しておき、それによって決まり字変化を正確に把握することでより早く札をとることができます。

競技かるたにおける序歌はなぜ存在する?

競技かるたは上の句が詠まれて、下の句を取るという競技ですが、実際の競技大会などを見てみると上の句のまえに何やら歌が詠まれています。

これを『序歌』というのですが、現代の競技かるたでは王仁という人が詠んだ『難波津に咲くやこの花冬籠り今を春辺と咲くやこの花』という歌が詠まれます。

この序歌は百人一首のなかにはありません。

つまり、競技にはなんの影響も与えないわけです。

それならなぜそんなものを詠む必要があるの?という疑問が沸き起こりますよね。

これは私も疑問でした。

そこで調べてみると、どうやら特別な意味はないようです。

強いて言うのであれば、伝統ですね。

そういう決まりになっているから詠まれる。ただそれだけです。

昔からそうなんだそうです。

一種のリズム取りのような感じなんでしょうかね。

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