バブル崩壊のきっかけとなった総量規制を中学生でも分かるように解説してみる

中学生でもわかるシリーズ

中学生でもわかるシリーズ第2回目は『バブル崩壊のきっかけを生んだ総量規制について』です。

単に総量規制というと、実はいろんな意味があります。

例えば、カードローンや消費者金融の貸し出しに関係する総量規制もありますし、介護保険などに関連する総量規制もあります。

さらには排水や環境汚染などの業界でも総量規制って言葉は使われているんですね。

こんな感じでいろんな意味がある総量規制ですが、ここではあくまでもバルブ経済を崩壊させるきっかけになった総量規制を解説していきます。

バブル経済を知らない人や金融政策ってなんじゃらほいって人でも分かりやすく書いたので是非見てくださいね(‘ω’)

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バブル経済ってそもそもなんなのさ!

バブル経済ってよく聞きますよね。

つい最近の話をするとバブリーダンスとか話題になりましたよね。

平野ノラさんってお笑い芸人の人の登場でもバブリーって言葉は一気に流行しました。

でも、バブルってよく考えたらよくわからない!

そもそも俺(私)その時代いきてねぇーし!

って人もたくさんいると思います。

総量規制を理解するためにはそもそもバブル経済がどのように出来上がったのかを理解する必要がありますので、まずはバブル経済について分かりやすく解説していきますね。

と、その前に下の図を頭に入れてください。

バブル成立から崩壊までの一連の流れを簡単に図にしたものです。

全体像を知っておくとより理解しやすいと思うので、テキトーでいいのでだいたい押さえておいてくださいね!

バブル経済はお金持ちだらけ

バブル経済やバブル景気っていうのは、皆さんのイメージ通り金持ちウヨウヨの状態をいいます。

具体的にいうと、経済が活発で、景気が右肩上がりに上昇していっている時代のことです。

年代でいうと、一般的には1986年の終わりごろから1991年の初めごろまでを指します。

この時代はとにかくすごかったんですよ。

土地も株も上がりまくる。

買えば上がるからみんな買う。

みんなが買うとそれに伴ってさらに価格は上がる。

だからまたみんな買う・・・

みたいな感じでどんどん上がっていきました。

身近な話をすれば、大通りを挟んで向かい側のお店に行くのにもタクシーを使う人が続出したっていうくらい景気がよかったんです。

まぁこれはひとつのたとえ話的なものでもありますが、実際にこういう人もたくさんいました。

こういう雰囲気からバブリーって言葉が生まれたんですね。

バブル経済の発端はアメリカです

こんな日本のバブル経済をアメリカが作ったってどういうこと?と思う人も多いでしょう。

実際にはいろんな理由が指摘されているので、一概にコレだ!って決めつけるのは難しいのですが、アメリカが発端のひとつであることに間違いはありません。

学生の人はまさに今、成人した人は昔を思い返してみてください。

社会の授業とか歴史の授業とかで『プラザ合意』って言葉きいたことありませんか?

え、聞いたことないですって?

じゃあしょうがいないですね。

プラザ合意っていうのは、ニューヨークにあるプラザホテルで世界各国のお偉いさんたちが集まって合意をしたらプラザ合意っていいます。

なんとも安易なネーミングですね。

このプラザ合意の会議には、ドイツの財務相、フランスの経済財政相、アメリカの財務長官、イギリス蔵相、日本の蔵相が参加しました。

世界の経済を動かしてる経済大国の財務部門のトップたちが参加したわけですね。

このプラザ合意で何が話されたのかが重要です。

この会議では、ドル安へ動くような政策が話されました。

そして、世界的にドル安方面への協力に合意したんです。

アメリカの貿易赤字を減らそう

当時のアメリカは大幅な貿易赤字を出していました。

貿易で赤字になるのはよくないので、どうにかして貿易黒字にしたいなぁって思ったんですね。

【ちょっと補足】
アメリカが巨額の貿易赤字を出していたのは、39代アメリカ大統領であるカーター政権から続く金融引き締めという政策が影響しています。ちなみにこの時の大統領は40代のレーガンです。簡単に歴史を追うと、ドルの金利上昇→世界中からドルに注目が集まる→ドルを買うとお金が儲かる→世界中のお金がアメリカに集中→需要が急激に増加したことでドル高になる→ドル高で輸出が減少して貿易赤字、みたいな感じです。

この貿易赤字を減らすためにはどうすればいいと思いますか?

これは簡単なことで、ドル安にすればいいんです。

そもそも貿易赤字が出ているのはアメリカの製品が他の国に売れないからです。

なんで売れないのかといえば、それはドルが高いからです。

他の国から見て、ドルは高い水準にあるので買いにくいんですね。

だから安くしてしまえばいい。

これは非常に単純な理屈です。

日本銀行の強烈なドル売り円買い

ドルを安くするって具体的にどうしたらいいの?って話ですが、これも単純。

日本の場合であれば、ドルを売りまくればいいわけです。

そうすればドルが市場にあふれかえって、値段が下がっていきます。

じゃあ、それだけのインパクトを与えるくらいドルを持っているのって誰?っていうと、それは日本銀行です。

日本の中央銀行である日銀がドルを大量に売り、円に換えることで急激な円高ドル安に向かっていきました。

これで成功したかに思えたのですが、現実はそう甘くありませんでした。

考えることはみんな同じ。

日銀だけでなく、日本の国民や投資家たちも円を買う方向に動いたんですね。

そりゃ当然です。

だって円の価値がどんどん上がっていくんですから円を買っておけば間違いないってなります。

こうなると、想像以上のスピードで円の価値は上がっていきました。

当時の為替レートを見てみるとこんな感じです。

約1年でドルの価値は半分にまで落ちています。

逆に言えば、約1年で円の価値は倍になったということです。

こうなると今度は日本の輸出企業が困ります。

円高すぎて今度は日本が貿易赤字になるわ!!!ってことですね。

日銀が出した金融政策は公定歩合の引き下げ

強烈なドル売りをした日銀は、ここまで予想してなかったお(´・ω・`)ってことで、早く対策しなきゃって考えました。

そこで出した金融政策が公定歩合引き下げです。

公定歩合っていうのは日銀が銀行に貸すときに取る利息のことです。

公定歩合が下がると、銀行の利息も下がります。

そのため、銀行からお金を借りやすくなって借入需要が増すんですね。

こうすることで日本中にお金が出回って、景気拡大をもたらします。

また、これと同時に日本政府も公共投資政策をとって経済を刺激しました。

バブルの成立

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政府の経済刺激と日銀の金融緩和が大きな要因となって、バブルが成立しました。

あふれかえったお金は株式や土地などの不動産へ流れていきます。

それによって異常なまでの価格高騰が起こり、いわゆる土地神話と呼ばれる時代に入っていきました。

東京23区でアメリカが変える!?

土地神話というのは、土地などの不動産価格が右肩上がりになっており、一生下がらないと思われた時代のことを言います。

土地の価格が上がるからみんな土地を買います。

しかも、このときは日銀の金融緩和によってお金が借りやすい状況なのでみんな銀行からお金を借りて土地を買うという動きに出ました。

するとさらに土地の価格は上がり、それを見た人たちはまたお金を借りて土地を買います。

こういうサイクルで高騰していった土地の価格は、東京23区の土地代でアメリカ全土の土地を買い占めることができほどにまで上がってしまったのです。

総量規制がバブルを崩壊させた?きっかけは誰が作ったのか

バブルは一見いいように思えますが、未来は暗いです。

バブルが続くとどうなるでしょうか。

これは物価が上昇し続けるので、インフレという状態になります。

ただ、物価が上昇し続けると一般消費者は買いたいものが買えなくなりますよね。

例えばマイホームを買いたいなぁと思っていた夫婦がいるとします。

夫の給料だけでやりくりをしている夫婦は夫の給料も上がらなければマイホームを購入することはできません。

バブル経済では給料も上がりますが、それを上回る勢いで物価が上昇していきました。

しかも、国民のなかには給料で生活している人以外にも、貯金で生活をしている人もいますよね。

年金をもらって生活している人もいます。

そういう人は収入がないわけですから、物価だけが上昇するという状況を目の当たりにするわけです。

こんな状態が続けば、当然財政は破綻して国家も破綻してしまいます。

総量規制発動!

国家が破綻したら困るので、再度政策を考えます。

そこで取られた政策が総量規制です。

やっと出てきましたね。(笑)

総量規制というのは簡単に言うと、『不動産を買うための融資を控えなさい』という命令です。

正確には、大蔵省銀行局長名義で各金融機関に発布された「土地関連融資の抑制について」という通達のなかに書かれた不動産融資に関する内容をいいます。

後に首相になる橋本龍太郎氏が大蔵大臣を務めているときに出された命令です。

銀行が不動産購入目的の融資を控えることで、人々は不動産を新たに購入できなくなります。

そうすることによって、不動産を買っても新たな買い手が見つからなくなりますので『買っても意味ねぇ~』ってみんな思うわけですね。

そうなれば当然不動産の価格は下落していきます。

そんなつもりじゃなかったのに・・・

不動産価格の下落は日銀や政府の本来の目的でした。

ですので、結果を見れば目的は達成したことになります。

ただ問題なのはその下落スピードです。

総量規制という政策はあまりにも厳しく、政府が想像していたスピードをはるかに上回るスピードで下落していきました。

不動産は気付けば価値がなくなり、株式も気付けばただの紙切れ。

そんな状態になったんですね。

これがバブル崩壊です。

まとめ

バブル成立から書いたら結構長くなってしまいましたね。

ここまで読んでみてわかると思いますが、当時の政府や日銀の政策は今から見るとかなりお粗末なものです。

そこまであからさまな金融政策やったら当然経済は大ダメージだろっ!って今ならだれでも分かります。

でも、当時はわからなかったんですね。

今までにこういう経験したことなかったですし、そもそも日本のバブル崩壊は世界的に見ても大きな出来事だったんです。

ということでバブル成立から見る総量規制のお話でした。

金融政策っていろんなところと連動していて面白いですよね。

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