【行事食の理由】ひな祭りの食事・料理の由来と伝統的な献立を紹介

年中行事

女の子の成長を祝う節句の年中行事としてひな祭りがあります。

地域によっていろいろな風習があるこのひな祭りですが、昔から伝統ときに食べられている食事がありますよね。

行事食なんて言い方をしますが、この行事食の由来について疑問に思ったことがある人も多いのではないでしょうか。

ここではひな祭りの伝統的な食事や料理について詳しく見ていきたいと思います。

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ひな祭りで伝統的に食べられている食事や料理

ひな祭りで伝統的に食べられている行事食は以下の通りです。

伝統的なひな祭りの食事
  • ちらし寿司
  • はまぐりのお吸い物
  • 菱餅
  • ひなあられ
  • 桃花酒・白酒・甘酒

これらの食べ物はほぼ全国共通なのですが、ひなあられに関しては関東と関西で違いがあります。

大きさとしては関西のほうが大きく、関東のほうが小さい傾向にあります。

形も違い、関東では米粒のような形をしていますが、関西では丸い形をしています。

これはそもそも製法が違うからで、関東の場合はお米を爆ぜて作り、それに砂糖などで甘い味付けをして作られます。

一方、関西の場合はお餅から作られ、甘くありません。どちらかというと塩味が付いていることが多く、なかにはしょうゆ味のひなあられもあります。

また、東海地方、特に名古屋圏の一部では円柱状の細長い形が特徴で、関東のような甘い味付けがされているものもあります。

ちらし寿司を食べる意味とその由来

ちらし寿司はめでたいことがあった時に食べられるものですよね。

だからこそ、ちらし寿司自体は『子供の成長を祝うめでたい席だから』という意味で食べられているだけで、これ自体に深い意味はありません。

意味があるのはあくまでもその具材です。

ちらし寿司のなかには海老やレンコン、豆などが入っていますよね。

これらにはそれぞれ以下のような意味があります。

伝統的なひな祭りの食事
海老=長寿、長生き

レンコン=見通しがきく

豆=マメに働ける

まさにおせち料理の縁起物と全く同じような感じというわけですね。

具材を見たところでダジャレ的な意味はありますが、ひな祭り特有の意味はありませんね。

はまぐりのお吸い物を食べる意味とその由来

これもちらし寿司とともに出される定番の料理です。

はまぐりである理由については諸説あるようですが、貞操の象徴であるという説や旧暦で3月は磯遊びの季節だからという説が有力のようです。

【ちょっと補足】
貞操とは人の正しい道を守ることという意味ですが、一般的には男女の性的純潔を守ることを意味することが多いです。

はまぐりのような二枚貝って、その二枚でなければ絶対に合いませんよね。

これを男女の関係に例えているといわれています。

でもだったらハマグリじゃなくてもいいじゃんっていうね。(笑)

菱餅を食べる意味とその由来

菱餅に関しては結構しっかりとしたルーツがあります。

確かに結構意味ありげな形と色してますもんね。

菱餅は歴史のなかで1色→2色→3色と変化してきました。

そもそも発祥は中国といわれており、中国で上巳節にゴギョウをのお餅を食べていたことに由来します。

ゴギョウは七草のゴギョウです。

セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロって春の七草を覚えている人も多いはずです。このゴギョウですね。

【ちょっと補足】
上巳節は『じょうしせつ』と読み、旧暦で3月の初めの巳の日のことをいいます。巳の日(みのひ)というのは、十二支の巳を意味しており、弁財天という神様に関連する日です。古代から白蛇は弁財天の使いといわれており、金運にまつわる縁起の良い日といわれてきました。

この時はゴギョウしか入っていないわけですから、当然緑一色です。

今でいうヨモギ餅みたいな感じ。

そしてこの風習が日本に伝わり、江戸時代には菱の実の粉を使ったお餅を重ねて白と緑の二色になったといわれています。

なんで菱の実をすりつぶした粉なんかいちいち入れたのか?というのは疑問ですが、これはおそらく菱の実の効用を期待してだといわれていますね。

菱の実って子孫繁栄とか長寿の効果があると昔から言われていたみたいです。

そして現代のおなじみの三色になったのが明治時代といわれています。

赤色はクチナシの色なんですね。(現代では桃や紅花といわれることも)

これにもそれぞれの意味合いが込められていて、時代や土地によって若干意味合いは変わってくるもののだいたい以下のような感じです。

菱餅の色の意味
緑(ゴギョウ・ヨモギ)=厄除け、健康
白(菱の実)=子孫繁栄、長寿、清浄
赤(クチナシ)=魔除け

色を重ねる順番について

ちなみにですが、色を重ねる順番についてもいわれやルールがあるようです。

絶対にこの順番でなければいけないというわけではないようですが、順番で意味が変わってくるようですね。

緑=若葉
白=雪
赤=花

という意味合いがあるようなので、下から順に白→緑→赤、もしくは緑→白→赤と重ねるのが一般的なようです。

菱餅が菱型の理由

ちなみに×2、そもそもなんで菱型をしているのか?ってところを疑問に思いませんか?

思いますよね。

私は思いました。

ということで調べてみると、これも諸説あり。有力説がどれなのかは分かりませんが、信憑性の高そうなものだけを紹介しておきます。

足利家由来の家紋

学生時代に教科書でみたあの足利さんです。

室町時代に隆盛を極め、将軍として国を治めました。

その影響力は今じゃ考えられないほど絶大だったわけですね。

そんな足利家が古くから使っていた家紋が菱形で、これが定着したともいわれています。

ただ私の知る限り足利家の家紋は『足利二つ引』という丸い家紋なんですけどね・・・

陰陽道における女性の意味

中国に古来から伝わる陰陽道。

日本においても平安時代には安倍晴明が活躍するなど、陰陽師の地位が一気に向上しました。

この陰陽道において、男性=円形、女性=正方形という意味合いがあるようなんですね。

ひな祭りは女の子の節句なので、正方形=菱形になったというわけです。

これは数ある説のなかでも有力なんじゃないかと思っています。

そもそもひな祭りの文化自体も中国から伝わってきたようですし、陰陽道自体も中国発祥ですからね。

菱の実の伝説

大昔、仙人がいたそうです。

この仙人は千年の間生きており、超長寿で知られていました。

仙人がなぜ長寿だったのかというと、菱の実を食べていたから。

ここから縁起を担いで菱の実を使うようになり、菱の実を形どって菱形になったという説です。

この信憑性については相当眉唾な感じではありますが、伝説とか縁起とかを好んだ昔の人ならありうると思いますね。

ひなあられを食べる意味とその由来

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ひなあられの発祥も諸説あります。

もっとも有力な説は昔から日本にあった『ひなの国見せ』という風習がもとになっているという説です。

『ひなの国見せ』に関しても始まりはよくわかっていないようですが、江戸時代に流行したという記録は残っています。

部屋に飾っているひな人形を山や川に連れていき、春の訪れとその空気を吸わせてあげるという風習です。

これを微笑ましいと取るか、なんか不気味と取るかは人それぞれですね。(笑)

『ひなの国見せ』は外にひな人形を連れていく風習なので、それと同時に菱餅を食べれるように持っていこうとしましたが、べたべたしてなんか不便だぞってなったんですね。

それを外でも食べれるように加工したのがひなあられといわれています。

確かに言われてみれば菱餅と同じ色してますもんね。

こう考えてみると、菱餅→ひなあられということは現代で言う関西風のほうが原型に近いのかもしれませんね。

桃花酒・白酒・甘酒を食べる意味とその由来

桃の節句に出てくる飲み物といえば、甘酒や白酒、桃花酒などが代表的ですね

どの地域でもおおよそこの3種に分類できるのではないでしょうか。

これも歴史の流れを見てみると、桃花酒→白酒→甘酒と変化していったようです。

ちなみにですが、この3種類はすべて全くの別物です。

それぞれの違いを簡単に書いてみるとこんな感じ。

桃花酒・白酒・甘酒の違い
桃花酒=日本酒などの酒に桃の花を付けたり、浮かべたもの

白酒=もち米やみりん、焼酎などから作られるアルコール度数10%前後のお酒

甘酒=ご飯や米麹などをもとにして作られたアルコール度数1%未満のもの。なかにはノンアルコールのものもある。

いずれにしても昔から白く濁ったお酒を飲む風習はあったようで、子供でも飲めるお酒として甘酒になっていったといわれています。

元祖は桃花酒で、これは百歳(ももとせ)にちなんでいるとのこと。

【ちょっと補足】
百歳(ももとせ)は辞書的には『長い年月』というような意味合いがあります。ひな祭りが桃の節句といわれるように、桃の長寿を祝っているという意味があるのかもしれません。

まとめ

いかがだったでしょう。

おせちもそうですが、こう見てみると古代の人って縁起物が大好きなんだなって感じですよね。

そもそも占いとか国家行事でしたしね。

平安時代の日本は占いによってさまざまな重要な決めごとをするくらい重要なものだと思われていました。

これが今なお残っているんですね。

何かにすがりたい気持ちとか、縁起を担ぎたい気持ちは、その程度の差こそあれいつの時代も同じなのかもしれませんね。

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